パワーエレクトロニクスの評価では、大きなDC電圧に重畳した微小なリップルや、ゼロクロス付近の細かな電流変動を観測することがあります。8bit分解能のオシロスコープでも測定条件によってこれらの信号を観測できますが、大きな入力レンジを設定すると、微小な電圧変化を細かく区別しにくくなる場合があります。こうした測定では、12bit以上の高分解能オシロスコープも選択肢の一つです。
オシロスコープは、ADC(アナログ・デジタル変換器)によって入力信号をデジタル値に変換して表示しており、この変換の細かさを分解能と呼びます。8bitでは理論上256段階、12bitでは4096段階に分けて電圧を表現できます。例えば、ADCの入力範囲を10Vと仮定した場合、理論上の量子化ステップは8bitで約39mV、12bitで約2.4mVです。同じ入力範囲で比較すると、12bitは8bitよりも理論上約16倍細かい段階で電圧を表現できます。
例えば、大きなDC電圧に微小なリップルが重畳している場合、大きな電圧レンジを使用すると、量子化ステップが粗くなり、微小な変化を細かく観測しにくくなることがあります。プローブのノイズフロアなどの測定条件が適切であれば、こうした微小なリップルの変化をより細かく捉えやすくなります。
スイッチング損失の評価では、ターンオン・ターンオフ時の電圧と電流の波形を、時間的な関係も含めて測定する必要があります。高分解能オシロスコープは、測定条件によって細かな電圧・電流変化を捉えるうえで役立つ場合があります。
カタログ上の分解能が12bitでも、実際の測定性能はノイズや歪み、測定条件などの影響を受けます。ENOB(有効ビット数)は、ノイズや歪みなどを含めた実効的な分解能を示す指標の一つで、実際の測定条件で必要な性能が得られるかを判断する材料になります。加えて、帯域幅、全チャンネルを同時に使用した場合のサンプリングレート、メモリ長、プローブ側の性能まで含めて、測定系全体で必要な性能を満たせるか確認することが重要です。
12bit以上の高分解能オシロスコープは、パワエレ回路の微小な電圧・電流変化をより細かく観測したい場合の選択肢です。ADCの分解能だけで判断するのではなく、ENOB、帯域幅、全チャンネル同時使用時のサンプリングレート、メモリ長、プローブ側の性能なども含めて、測定目的に必要な性能を総合的に確認しましょう。


| 周波数帯域 | 200MHz |
|---|---|
| サンプルレート | 1GSa/s |
| チャネル数 | 2 |

| 周波数帯域 | 350MHz/500MHz |
|---|---|
| サンプルレート | 2.5GS/s |
| チャネル数 | 4ch/8ch/ロジック32bit |

| 周波数帯域 | 100GHz |
|---|---|
| サンプルレート | 256GSa/s |
| チャネル数 | 4 |