パワーエレクトロニクス(以下、パワエレ)は、インバータやコンバータなど電力変換回路を扱う分野で、EV駆動系や蓄電池PCS、産業用モータドライブなどに幅広く使われています。これらの回路ではスイッチング素子が高速でオン・オフを繰り返し、大電流と高電圧が同時に扱われるため、テスターでは把握しにくい高速な過渡波形や電圧・電流の時間的な変化を観測する際に、オシロスコープが活用されます。
パワエレの評価では、オシロスコープに求められる要件が一般的な用途とは異なります。GNDから浮いた高電位側を安全に測るための絶縁、三相+DC+ゲート信号を1台でまとめて捉える多チャンネル、大電圧に重畳した微小リップルを正確に捉えるための高分解能が主要なテーマです。加えて、電圧と電流の時間差を補正するディスキュー機能や、電力・損失・効率を自動計算する電力解析オプションも欠かせない選定ポイントとなります。
パワエレ回路では、GNDから浮いた高電位側の信号を測定する場面があります。一般的な接地型オシロスコープでは、プローブのグランドリードを接地電位ではない高電位側へ接続すると、短絡や機器の破損、感電などにつながるおそれがあります。各チャンネルが絶縁された入力構成を持つ絶縁オシロスコープや、高電圧差動プローブなど、測定対象や必要な絶縁仕様に適した測定手段の選択が必要です。
三相の各相について電圧と電流を同時に測定する場合だけでも6chが必要になり、さらにDCリンク電圧やゲート信号などを加えると、4chでは不足するケースがあります。複数の信号を同時に取得し、それぞれの時間的な関係を確認したい場合、8ch以上の多チャンネルオシロスコープが有効な選択肢になります。
大きなDC電圧に重畳した微小なリップルや細かな電流変動をより詳細に観測したい場合、8bitよりも高い分解能を持つオシロスコープが有効な場合があります。12bit以上の高分解能オシロスコープは、測定レンジ内でより細かな電圧変化を捉えやすい点が特徴です。
パワエレの評価では、安全に測るための絶縁、多点同時観測のための多チャンネル、微小信号を捉える高分解能という3つの要件が中心になります。各基礎知識ページで詳細を確認し、測定対象・回路方式に合った1台を選定するための判断材料としてご活用ください。


| 周波数帯域 | 200MHz |
|---|---|
| サンプルレート | 1GSa/s |
| チャネル数 | 2 |

| 周波数帯域 | 350MHz/500MHz |
|---|---|
| サンプルレート | 2.5GS/s |
| チャネル数 | 4ch/8ch/ロジック32bit |

| 周波数帯域 | 100GHz |
|---|---|
| サンプルレート | 256GSa/s |
| チャネル数 | 4 |